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TIP4P/2005モデルの高圧領域の相図

更新日: 2017年08月26日

米国化学会の雑誌Langmuirに我々のグループの論文が掲載されました。

 

Hirata, M; Yagasaki, T.; Matsumoto, M.; Tanaka, H. Phase Diagram of TIP4P/2005 Water at High Pressure. Langmuir DOI: 10.1021/acs.langmuir.7b01764 (2017).

分子動力学シミュレーションは、分子の動きをコンピュータの中で再現するツールとして、幅広く使われています。その中で、分子の間に働く力を厳密に再現するためには、莫大な計算量が必要となるため、力を単純な関数で近似した「力場モデル」が代用されます。

TIP4P/2005モデルは、信頼性の高い水の力場モデルとして知られています。これを使って、液体/氷VIIの二相共存シミュレーションを行ったところ、これまでに見つかっていない新しい氷構造が自発的に生成しました。また、過去の研究で氷VIIの前駆体として発見された構造が、ある温度・圧力領域で最安定な相であることがわかりました。どちらの氷も、一部の分子が容易に回転することができる”部分的なプラスチック氷”です。これらの氷構造は、現実系では準安定構造として出現する可能性があります。