[research]
私は、計算機シミュレーションによって分子の振る舞いを研究しています。

計算機シミュレーションを行えば、すべての分子の運動を逐一観察することができます。多くの統計量、物理量は、これらの分子の配置と運動から導かれます。

水の特異な物性も、もしそれが計算機シミュレーションによって再現することができるなら、その原因はシミュレーションが作り出した分子配置、分子運動のなかに必ず見つけることができるはずです。ただし、すべての分子の運動を見せられても、人間は理解することができません。現象が再現できるからといって、わかったことにはなりません。

「わかる」「理解する」「腑に落ちる」ためには、シミュレーションで得られたデータを、近似したり、情報を間引いたりして、人間のわかる規模まで簡単化する必要があります。現象自体は誰がシミュレートしても同じように再現されるはずですが、それを簡単化し解釈する過程は人間の営みであり、研究者の個性が反映される点です。シミュレーションで得られたデータに、あらゆる角度から解析を行い、解釈を考えてはそれを検証し、矛盾があればまた別の解釈を与え、それを再び検証する、という過程を繰り返すことで、複雑に見える現象の本質を簡潔な言葉で説明することができれば、これほど興奮することはありません。

ただし、どんなシミュレーションでもそのように簡潔な説明を与えられるわけでありません。神は、人間の直感で理解できる程度の複雑さになるように自然をデザインしたはずだ、と考えるのはお気楽すぎるように感じます。本質的に複雑で、最良の理論をもってしても長々とした説明をせざるをえない系もあると僕は考えています。そういう問題を研究対象に選んでしまうと、時間はかかるしきれいな答え(簡潔な説明)が得られないので非常につらいのですが、それでもチャレンジする価値があると思います。直感で理解できそうだとはじめからわかるような研究対象をあらかじめ選ぶのもつまらないし、そういう問題は、よく調べれば、たいていは過去の偉人たちの考察によって、うまいconjectureが与えられているのに気づきます。

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[2005年12月22日]

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