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氷の負の熱膨張率:単原子mWモデルと全原子TIP4P/2005水モデルの比較
更新日: 2019年05月15日
我々のグループの新しい論文がでました。
Mahfuzh Huda, Takuma Yagasaki, Masakazu Matsumoto, Hideki Tanaka
Negative Thermal Expansivity of Ice: Comparison of the Monatomic mW Model with the All-Atom TIP4P/2005 Water Model
Crystals, 9(5), 248 (2019).
通常の物質は温度が下がるほど収縮しますが、氷は極低温では逆に膨張します。この現象は、氷の負の熱膨張率と呼ばれ、水の異常な性質の一つです。(液体の水も融点付近で負の熱膨張率を示します。)
準調和近似を用いて単原子mW模型に対する氷Iの熱膨張率を計算しました。元のmWモデルは低温で実験的に観測された負の熱膨張率を再現できないことが分かりました。いわゆる四面体パラメータλを再調整することにより負の熱膨張を回復する簡単な処方を提案しました。mWモデルにおける負の熱膨張の起源を説明するために,λ値とGrunneisenパラメータの間の関係を調べ,氷の体積に及ぼす回転運動の影響を調べることができる全原子水モデルと比較しました。